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ロタウイルス感染症
ロタウイルス(Rotavirus)は、一般に乳児下痢症・嘔吐下痢症の原因としても知られています。主に下痢症状で受診し、特に小児は重篤な下痢を起こし易く、罹患患者の10 %は入院となります。スポンサーリンク
ロタウイルス感染症の特徴
乳幼児の冬の急性下痢症の最も主要な原因がロタウイルスによる感染症です。
秋から年末にかけてはノロウイルスが、1月~4月にかけてはロタウイルスが主に流行します。
生後6ヶ月から2歳の乳幼児に多くみられ、5歳までにほとんどの小児が経験します。
米のとぎ汁のような白色の下痢便が特徴で、そのため白痢あるいは仮性小児コレラとも言われていました。
主な症状は嘔吐と下痢ですが、ノロウイルスよりも発熱を伴う場合が多く、重症度が高いとされています。
通常1歳を中心に流行がみられますが、保育所、幼稚園、小学校などの小児や、病院、老人ホーム、福祉施設などの成人でも集団発生がみられることがあります。
ロタウイルスの感染経路
患者の便1g中には10~100億個ものウイルスが排出されます。ロタウイルスは感染力が非常に強く、10個以下のウイルスで感染が起こります。このため、患者の便中のウイルスがなんらかの形でほかの人の口に入って感染します。
ウイルスは環境中でも安定なので、汚染された水や食物を介して、あるいは汚染された物の表面(ドアノブ、手すり等)を触った手などから口に入り感染します。
ロタウイルス感染症の症状
- 嘔吐、下痢、発熱が主な症状です。
- 潜伏期間は約2日で、激しい嘔吐(1日5~6回)、激しい下痢が特徴ですが3~8日程度で治まります。発熱は半日~1日で終わる場合が多く、2日を超える例はあまりありません。
- 激しい嘔吐や下痢により急激に水分を失いますので、特に乳幼児では脱水症状に気をつける必要があります。
- ロタウイルスのように局所感染を起こし潜伏期間が短い感染症では、感染後の免疫が不完全かあるいは免疫が成立しても持続しない(1年以内)ので、たびたび再感染を起こします。
- 一般に、年長児や成人では感染しても発症しない(不顕性感染)場合が多いようです。
ロタウイルス感染症の治療方法・予防方法
現在、このウイルスに効果のある抗ウイルス剤はありません。
脱水症を防ぐため、市販のイオン飲料等で水分を補給する必要があります。少しずつ何度も飲ませてあげましょう。飲んでも吐いてしまう場合は、 早めに医療機関を受診してください。
下痢止め薬は、病気の回復を遅らせることがあるので使用しません。
日頃からの予防方法としては、食事前やトイレの後などにおいて、せっけんを使ってしっかりと手を洗うことが大切です。
二次感染を防ぐために
患者の便や嘔吐物には大量のウイルスが含まれていますので、その処理には十分注意する必要があります。また、下痢の症状がなくなった後も、患者の便にはしばらくウイルスの排出が続くと考えられますので、症状が治まっても安心はできません。汚物を処理する際には使い捨ての手袋を使用し、用便後や調理前の手洗いを徹底しましょう。
殺菌には熱湯あるいは0.05~0.1%の次亜塩素酸ナトリウムを使用します。アルコールや逆性石鹸にはあまり殺菌効果はありません。
調理器具、おもちゃ、衣類、タオル等は熱湯(85℃以上)で1分以上の加熱が有効です。
市販の塩素系漂白剤(通常は5~10%次亜塩素酸ナトリウム)なら50倍~100倍に薄めて使用します(例えば、原液10ミリリットルを1リットルの水で薄める)。
汚物の処理方法
- 患者の便や嘔吐物を処理するときは、使い捨ての手袋とマスクを着用する。
- 便や嘔吐物はペーパータオル等で取り除き、ビニール袋に入れる。
- 残った便や嘔吐物の上にペーパータオルをかぶせ、その上から50倍~100倍に薄めた市販の塩素系漂白剤を十分浸るように注ぎ、汚染場所を広げないようにペーパータオルでよく拭く。
- ウイルスは乾燥すると空気中に漂い、これが口に入って感染することがあるので、便や嘔吐物を乾燥させないことが重要。
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